業務効率化プログラムについて

「業務効率化」と言うとやや抽象的ですが、ウェブ・IT 分野における業務効率化には、Python(パイソン)というプログラミング言語が非常に役立ちます。
Python は、AI(人工知能・機械学習)といった分野や、Web アプリケーションの構築に使用されることが多く、世界的に人気の高い言語です。
ちなみに、YouTube や Instagram といった世界中で利用されているサービスにも Python が利用されています。

Python を使った業務効率化プログラムの例

上記のような先端を行くテクノロジーに利用されている Python ですが、私たちの普段の業務においても非常に強力なパワーを発揮します。
例えば、「毎回繰り返すルーチン作業」も一定の規則性があれば Python を使うことで、あっという間に完結することができます。
手作業で行うと、数日、数週間、場合によっては数ヶ月かかるようなタスクでも、Python によるプログラムを利用することで、わずか数分で完了できることもあります。
以下に、Python を使った業務効率化プログラムの例をご紹介します。

Excel・CSV からウェブサイトに掲載するコンテンツを自動生成する

ワードプレスや各種 EC サイトに掲載するページの情報や商品情報などを、マスタ情報としてExcel・CSV で管理しておくと業務の運用において非常に効率よくなりますが、これらの情報を Python によって集計・加工することで、各種サイトに適合するフォーマットに変換し出力できるようになります。

例えば、不動産物件情報には「価格・間取り・広さ・アクセス・設備詳細」など、多種多様な内容が含まれます。
これらは、社内において Excel やスプレッドシートなどで管理することが多いと思いますが、この情報を Python で加工すると、ワードプレスサイトに「そのまま」取り込めるデータに変換することができます。

このフローが実現することによって、本来であれば 1 ページずつ該当箇所を Excel から 1 箇所ずつコピーしなければならない手間をすべて一元化し、数百ページ・数千ページあるサイトでも一括で更新をかけることが可能になります。
また、仮にワードプレスで運用していない HTML 静的サイトであっても、HTML ファイルを一括で生成するといったことも可能です。

各種帳票を一括で作成する

国内 EC では納品書、越境 EC ではインボイスといったように各種の帳票が必要になる場面がありますが、ショッピングサイトの受注データを Python の自動化プログラムに取り込むだけで、オーダーが何件であれ、あっという間にこれらの帳票を作成できるようになります。
また書類の作成だけでなく、例えばヤマト運輸の送り状を発行するための出荷データを、納品書などと併せて同時に作成することも可能です。

つまり、受注データのファイルをドラッグ・アンド・ドロップするだけで、商品出荷時にかかる書類作成の手間を大幅にカットできることになります。
「必要不可欠なタスクであるものの多大な手間がかかる」「毎度似たような手順をふむルーチン作業である」。
こういった場面で、Python の自動化プログラムは強力な業務効率化ツールとなります。

画像の生成・リサイズを一括で行う

特に EC サイトでは大量の画像を扱う場面が多く、これらを用途に合わせて画像サイズを変更したり、例えば特定のセール期間中だけ画像に文字の流し込みを行うといった一時的な加工をする場合など、複数の画像を微調整しなければならない場面に出くわすことがあります。
こうした場合に、Photoshop などでファイル 1 つずつ編集を行うと多大な手間がかかりますが、Python を使用すれば問題を解決することができます。

例えば、元の画像に対して特定の文字を流し込みたい場合は、Excel で「画像ファイル名」とそのファイルに対して「記載したい文言」の一覧を管理しておきプログラムを実行するだけで、必要とする文字が合成された画像を一括で生成することも可能です。

ウェブページの情報を自動で取得する

過去に「メーカーサイトから各製品の在庫数を取得し、自社サイトにその数を掲載したい」といったご依頼がありましたが、こんな場合でも Python で実現ができます。
自社サイトはワードプレスで運用を行っていましたが、以下のようなフローで対応を行いました。

  1. はじめに Python によってメーカーサイトにアクセスを行い、必要な情報を取得する(※注)
  2. CSV にダウンロード
  3. ワードプレスにログイン
  4. CSV のアップロード

これだけのフローであれば一見すると手作業でも実施できると思うかもしれませんが、「必要な在庫数の情報」という部分に関して、SKU の数にすると 100 を超えるアイテムであったため、目視でこれらの情報を取得するのは非常に労力がかかります。
さらに、これらの情報更新を可能であれば「毎日」実施したいといった背景もありました。

毎日「数を追いかけて、それらを入力する」という作業は単調極まりない作業となりますが、Python を使うことで指定時刻に毎日自動でこのタスクを完了できるうえ、数値の読み取りミス・記述ミスといったヒューマンエラーも回避できます。

(※注)プログラムを使ったウェブサイトへのアクセス(ウェブスクレイピング)を禁止しているサイトもあります。今回はクライアント・メーカー間でプログラム実施の連絡・許可を得た上で実施した内容となります。許諾を得ることができないサイトに対して実施すると、威力業務妨害などの問題に発展する可能性もあります。

業務効率化を追求して「本来やるべき仕事」に打ち込む

「人類は AI によって仕事を奪われる」といったフレーズを聞くことがありますが、「仕事の根幹の舵取り」は人間にしかできません。
AI は既に存在する膨大なデータから集計・分類などを行い、それらからあくまで「予測」した結果を返しているに過ぎないからです。
このページでご紹介した各種の内容も、あくまで「決められたルーチン」をコンピューターに指示して実行させるだけに過ぎず、数ある仕事の各工程・各タスクの中でも「面倒かつ単調な部分を圧縮」することを指しています。

「アイデアを取り入れ、想像力をはたらかせ、ビジネスに取り込む」といったことは人間にしかできません。
しかし、実際の仕事ではこの他に「終わらせる必要がある業務」があるものの、必要以上に時間・労力といったリソースがかかっていることが往々にあるのではないでしょうか。